第4回ワークショップの記録

奈良時代後半の天平宝字5年(761)10月、平城宮の改築にともない、淳仁天皇・孝謙上皇は、近江の保良宮・京に遷都した。この保良宮の遷都にともない、瀬田川河畔にあった小寺院の石山寺が天平宝字5年末から6年8月にかけて、大増改築することになった。この大工事は、造東大寺司に造石山寺院所を設けて実施された。その造営は、『正倉院文書』に、開始から終わりまで写経所関連の紙背文書として残っており、その細かな造営過程、構築した建物、造営従事者、経費などをじつに詳細に知ることができる。また、石山寺との関連から、まだ不明な保良宮の所在地もほぼ推測できる。