小関越

逢坂越の北側の山中を、三井寺町から藤尾奥町へと抜ける間道です。およそ4kmの短い間道ではありますが、古代より京都と近江を結ぶ道として頻繁に利用されてきました。小関越の名称は、逢坂越の「大関」に対してそう呼ばれます。鎌倉時代の『海道記』には「四宮河の渡はしののめに通りぬ。小関を越えて、大津の浦をさして行く」とあります。江戸時代の貞享3年(1686)には、俳人・松尾芭蕉が京都から大津へ向かうときにこの道を通り「山路きて 何やらゆかし すみれ草」と詠んだ句はよく知られています。また、小関越は西国観音巡礼の道でもあり、それを示す石造道標(市指定文化財)が、長等神社の近く、小関越への道と三井寺への道の分岐点に立てられています。形体から江戸中期はくだらない道標には、「(西面)左リ三井寺 是より半丁 /(北面)右小関越 いまく満 京道」と刻まれており、第14番札所三井寺と第15番札所京都・今熊野をさしています。

一覧に戻る